「大丈夫、大丈夫、いつかはここを抜ける日がやってくる」 吉本ばなな ムーンライトシャドウ 吉本ばななさんの「ムーンライトシャドウ」という作品から。主人公「私」の恋人が亡くなってしまい、絶望の中「私」が何度も思い続けたという言葉です。 仏教では「無常」を説きます。「無常」と聞くと多くの日本人は、平家物語の一節「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」を思い浮かべるでしょう。中学校の頃暗唱させられました。どんなに栄華を極めた者も必ず滅びる。世の中ははかないものだ、というものです。また無慈悲・非情を意味する「無情」と音が同じであることも相まって、厭世的(人生や世の中に絶望し、生きることに希望を見いだせない、または世の中を虚しいと感じる傾向のあるさま)なイメージを持つ人も多いと思います。 しかし、「無常」というのは、字を見ての通り「常でない」という意味であり、「この世のすべてのものは変化し、一時も同じ状態にとどまらない」という事です。「無常」=滅びる・虚しい ではなく、悪い状況が好転するのも「無常」、新しいものが生まれるのも「無常」です。 今は大変でつらい状態であったとしても、いつまでもそれが続くわけではありません。きっと好転すると信じ、前向きに生きていきたいものです。 |
![]() |
「嫉妬はいつも正義の服を着てやってくる」 タモリ 例えば「高所得者に対しもっと税金をかけるべきだ」という意見を聞きます。これは一見強者に対して弱者救済の正義の意見に見えますが、実際は高所得者はそれに見合った税金を納めていますので、単なる言いがかりです。この意見の根本には相手がうらやましいという嫉妬の気持ちがあるのだと思います。でも自分ではその嫉妬心に気づかず、正義論として相手に投げつけているのだと思います。 他の例として、効率よく仕事をしている人に対し「あれは邪道だ。もっと苦労して仕事をしなくては給料をもらう権利はない」とか、今の部活動の様子を見て「これでは甘すぎる。もっと厳しくしなくては身につかない」などの例があると思います。 どれも他人の得が許せず、自己中心的な正義で相手を攻撃する行為といえましょう。 嫉妬の気持ちは仏教では煩悩のひとつとされます。 みなさんも、「正義の服を着た嫉妬」による意見を振りかざされたときは、気にせず相手にしないようにしましょう。またそのような批判に乗って他人を批判しないように気をつけましょう。 |
![]() |
「今しか できない」 旅行に行こうとか、勉強して資格を取ろうなどと考えたとき、「あれが片付いたら」「あれが終わったら」などと先延ばしにしがちですが、なかなかそのようなことが片付いたり終わったりしないものですし、片付いたり終わったりした頃には年を取ってしまったり他の用事ができてしまったりして、やろうと思っていた事ができなくなってしまうものです。 時間は過ぎてしまうと戻ってきません。やってみたいと思った事は、「今しかできない」と考え、今から実行したいものです。 学生さんたちは夏休みの時期ですね。是非様々な事に挑戦してみましょう。 また学生さんたちにとっては学生時代にしかできないこともありますし、親御さんにとっても子育てはお子様が小さい時にしかできません。子育てを例にあげてしまいましたが、それ以外にも今の年齢でないとできない事がたくさんあると思います。その時間を大切に楽しんで過ごしていただきたいと思います。 |
![]() |
「生まれや育ちなんか 人の値打ちとは関わりねえ 屁みてえなもんだ」 NHK大河ドラマ「べらぼう」蔦屋重三郎 2025年放送中の大河ドラマ「べらぼう」から。 重三郎が育ち、また商いをしていた吉原は、当時周囲から差別的な扱いを受けていましたが、日本橋に店を出すに当たり、内部(吉原)から反対の意見が出た時に、重三郎が言ったセリフでした。 お釈迦さまの言葉にも、「生まれによって賤しい人となるのではない。生まれによってバラモン(当時インドにおける身分制度の最上位)となるのではない。行為によって賤しい人ともなり、行為によってバラモンとなる。」(スッタニパータ)とあります。 私たちは、その人の出自や、職業や肩書きなどで人を判断してしまいがちですが、その人の本当の値打ちは出自や肩書きで決まるものではありません。私たちが人を見るときは、その人がどのような行為をしているか、しっかりと見る必要があります。 また私たち自身も、自分の職業や肩書きにたよらず、正しい行動をしたいものです。 |
![]() |
「言葉は刃物なんだ」 名探偵コナン 2011年に上映された『名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)』の中で使われていた言葉です。 「一度口に出しちまった言葉はもう元には戻せねーんだぞ。言葉は刃物なんだ。使い方を間違えると厄介な凶器になる。言葉のすれ違いで、一生の友達を失うこともあるんだ。」 お釈迦様の言葉にも、『人が生まれた時には、実に口の中には斧が生じている。愚者は悪口を言って、その斧によって、自分を斬り割くのである』(中村元 『ブッダのことば―スッタニパータ』)とあります。 言葉は口から出してしまったら、口に戻すことはできません。 どんなに打ち解けた相手であっても、言っていい言葉と言ってはいけない言葉があります。 また最近は「カスハラ」(カスタマーハラスメント)といって、客がお店などを相手に暴言を吐くなどの行為が問題視されています。これは、自分の方が立場が上で、自分が常に正しいという思い込みがそのような行動につながっていると考えます。 どのような相手であっても、相手に敬意や尊重の気持ちをもち、常に謙虚な気持ちで、暴言や悪口、相手を困らせるような言動はやめたいものです。 |
![]() |
「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」伴虚無蔵 NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は、令和3年(2021年)に放送されましたが、今年(令和7年 2025年)の昼に再放送されており、4月に終了しました。 今月は、そのドラマのセリフからです。 斬られ役を何年も続けていた時代劇役者の伴虚無蔵(演:松重豊)のセリフです。伴虚無蔵のモデルは、「5万回斬られた男」といわれた福本清三さんでしょう。 福本さんは、先輩俳優さんから「いくら大部屋(脇役・エキストラの役者さん)といっても、俳優は俳優だ。ひとりひとりの演技があって、映画は成り立っているんだ。だからお前だって必要な人間なんだ。いつ斬られ役が回ってきてもいいように、自分で稽古をするんだ」と言われ稽古をつけてもらったという逸話があるそうで、そこから着想を得たセリフでしょう。 確かに斬られ役といっても、立ち回りなどしっかり基本ができていなければできない仕事ですし、できなければ次に仕事は回ってこなくなるでしょう。、いつ斬られ役が回ってきてもいいように、稽古をつけておく必要があります。 役者の仕事ばかりでなく、私たちも、いつ、どのようなご縁でチャンスが回ってくるのかわからないものです。いざチャンスが来たときに、準備ができておらずチャンスを逃すような事ではもったいないです。 日々鍛錬し、チャンスに備えたいものです。 |
![]() |
「恨みは恨みしか生まんがよ」 NHK朝ドラあんぱん 朝田羽多子(のぶの母) この春から始まった新しい朝ドラ「あんぱん」。 主人公のぶが、弱い者いじめをしていた男の子とケンカをして、相手にけがをさせて謝りに行った帰りに、お母さんがのぶに言った言葉です。 「のぶ、なんぼ自分が正しい思うたち乱暴はいかん。痛めつけた相手に恨みが残るだけやき。うらみは恨みしか生まんがよ。」 お釈迦さまの言葉「ダンマパダ(法句経)」に「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みを捨ててこそ息(や)む。これは永遠の真理である。(中村元 訳)」とあります。 恨みの気持ちを恨みで返したら、それは終わることがない。恨みを捨てればいい、という事ですが、このお母さんは、さらに進めて、相手に恨みの気持ちを持たせないように、と教えています。 私たちも、相手に恨まれるよな行動を控え、また恨みがあっても恨みで返すような事をしないようにしていきたいものです。 |
![]() |
「そのうちやろう」 その「そのうち」とは 今である 先月、『「誰かがやるだろう」 その「誰か」とは自分の事である』という言葉を紹介しましたが、今月はその続きのような言葉にしました。 2013年に、予備校講師(今はタレントとしても活躍されていますね)の林修さんが、「いつやるか、今でしょ」とCMで言ってその年の流行語大賞になりましたが、本当にその通りで、そのうちやろうと思ってもなかなかやらないものです。やろうと思った事は、その時すぐに行動したいものです。 曹洞宗の開祖道元禅師は、「光陰は矢よりも迅かなり、身命は露よりも脆し、何れの善巧方便ありてか 過ぎにし一日を復び還し得たる」(時間が過ぎ去るのは速い、命は脆い。どのような方法でも、過ぎ去った1日を取り返すことはできない)と言っています。 年度末になりました。やろうと思ってやり残していることはありませんか?重い腰を上げて、今こそ実行してみましょう。 |
![]() |
「誰かがやるだろう」 その「誰か」とは自分の事である 平成19年6月に掲示したものを再掲。昨年3月地元消防団を退団しましたが、最後に仲間に伝えた言葉でした。 何か気がついた事があって、「誰かがやるだろう」とそのままにしておいても、思った以上に同じ事に気がついている人はいないもので、誰もやってくれていない事が多いものです。 見て見ぬふりをせず、気がついた自分がまず行動したいものです。 私はこの言葉が好きで、「気がついたらすぐ実行」と思っていますが、実はこの言葉を律儀に守っていると、あれもこれもとどんどんやる事が増えてしまい自分を追い込んでしまいがちです。 「これをしなくては」と気づいても、自分だけでは無理だ、大変だ、と思ったら、他人に頼る事も大切だと思いました。ただ放っておき誰かが気づいてやるのを待つのではなく、自分からきちんとやってほしい事を具体的に誰かに伝えれば良いと思います。 気づいたことは、見て見ぬふりをせず自分で行動、大変だったら他人に頼む、大切なことだと思います。 |
![]() |
「やらない後悔よりやって大成功」 令和ロマン (初出は トンツカタン森本) 昨年12月22日に放送された「M-1グランプリ2024」面白かったですね。 私が気に入ったのは、バッテリィズさんの偉人の名言をネタにしたものでした。名言好きの私にはたまらなかったです。 さて今月の言葉は、この「M-1グランプリ2024」で優勝した令和ロマンさんのネタに出てきた言葉です。調べるとトンツカタンというお笑いトリオの森本さんが座右の銘にしている言葉のようです。 「やらない後悔よりやって後悔」という言葉は有名ですね。これはイタリアの政治思想家ニッコロ・マキャベリ(1469〜1527)の言葉で、行動せずに後悔するより、行動して後悔する方が賢明であるという意味の言葉です。よく考えると、この言葉は、行動して失敗することを前提とした言葉ですね。「やるからにはやってみて大成功しよう」という意気込みで挑戦したいものです。 仏教の禅語に「百尺竿頭進一歩」(ひゃくしゃくかんとうにいっぽをすすむ)という言葉があり、私の好きな言葉のひとつです。努力や工夫をして結果が出てもそれに満足せず、そこから更に一歩進めようという事です。 新年を迎えました。失敗を恐れず挑戦し、よい結果が出ても更に精進努力する1年にしたいものです。 |
![]() |