平成23年の門前掲示板


平成23年12月の門前掲示

人間らしく生きた 時間の合計のみが 真の年齢である

 私の小学校6年生の時の担任の先生がよくおっしゃっていた言葉です。

 調べてみたら、大正から昭和にかけて活躍した社会教育家、後藤静香(ごとうせいこう)氏の言葉でした。

 全文はこうです。
 
 地球は人間の遊技場でない
 人生は祭日の連続でもない
 本気になれ
 真剣になれ
 人間らしく生きた時間の合計のみが
 人間の年齢であり
 動物らしく生きた時間の合計は
 動物の年齢である
 自ら問え
 「わが真の年齢幾歳なりや」と


 平成23年も、もうすぐ終わります。
 今年、あなたは何分間人間らしく生きたでしょうか?
 あなたの人間としての本当の年齢は何歳でしょうか?
 年の最後に反省してみるのも良いと思います。


平成23年11月の門前掲示

それでも私には 夢がある

 みなさんは、キング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)をご存じですか?

 アメリカ合衆国のプロテスタントバプテスト派の牧師で、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動した人物です。

  第二次世界大戦が終戦し、国連は1948年「世界人権宣言」を宣言した。一方で、自由の国・民主主義の国であるはずのアメリカ合衆国の南部では、あからさまな人種隔離政策が続いていた。リンカーン大統領の『奴隷解放宣言』から 100年を経た1960年代になっても、アメリカでは、黒人の参政権が条件つきでしか認められておらず(ひどいところでは黒人の住民のうち投票権を有する 人が1%にも満たないありさまでした)、交通機関やレストラン、娯楽施設、学校等の公共施設でも、白人と有色人種の利用する場所を区分けする人種隔離が一般的に行われていたことなど、日常生活においても人種差別が色濃く残っており、人種差別に起因する様々な事件や社会問題も生じていた。こうした中、キング牧師などの活動家の指導の下、黒人たちの公民権(参政権など)獲得を求める運動が盛り上がりを見せた。

 1955年12月1日、当時42歳のローザは百貨店での仕事を終えて帰宅するため市営バスに乗車した。バス内は白人席と黒人席に分けられ、中間の席には白人がいない時は黒人も座ってよいことになっていた。黒人席が一杯だったのでローザが中間席に座っていると白人が乗って来始め、立つ者も出てきた。このため運転手ジェイムズ・ブレイクが中間席に座っている黒人に立つよう命じる。坐っていた黒人4名中3名は席を空けたが、ローザは立たなかった。ブレイクがローザのところにやって来て「何故立たない?」と詰問し席を譲るよう求めたが、ローザは「立つ必要は感じません」と答えて起立を拒否。この運転手の命令に背いて白人に席を譲るのを拒んだことで人種分離法違反として逮捕された。この事件をきっかけに、バスのボイコット運動を中心に差別撤廃の運動が盛り上がります。この運動の若 きリーダーとなったのが、キング牧師だったのです。
 自由と平等を求める運動は、白人過激派による暴力と、南部諸州の政府による弾圧にさらされます。キング牧師の家には爆弾が投げ込まれ、キング牧師の勤め る教会は放火されます。自由と権利を求めたとして投獄され、胸を刺されて命を落としかけます。それでも彼は、 インド独立の父と言われるガンジーの非暴力・不服従の運動に学び「暴力には魂の力で応えるのだ」と指導したのです。

 そして1963年8月28日、キング牧師を中心とする黒人公民権運動の大きな山場として首都ワシントンにおける行進が行われました。ワシントン大行進には、主催者の願いをも大きく上回る、白人も黒人も分け隔てなく25万にもの人々が参加したのです。彼らを前に、リンカーン記念堂前でリンカーン像を背にして、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師による演説が行なわれました。

 1964年、公民権法が制定されます。キング牧師はノーベル平和賞を受賞します。それでも、妨害行動は続き、牧師自身何度も逮捕されます。そして、 1968年4月テネシー州メンフィスにおいて、暗殺されてしまいます。39歳の若さでした。非暴力を貫いたキング牧師は暴力によって命を奪われましたが、 彼の魂は滅ぶことなく輝いています。

 このキング牧師の名言に「わたしたちには今日も明日も困難が待ち受けているが、それでもわたしには夢がある」があります。

 キング牧師ほどではないにしても、私たちには多くの困難があります。でも、夢に向かってすすんでいきましょう!



平成23年10月の門前掲示

親の死後の孝行は 墓参と供養を することなり

 「親孝行したい時には親はなし」という諺がありますが、親が亡くなったあとでもできる親孝行があります。
 それがお墓参りと供養です。
 おたくの仏壇はきれいにしてありますか?仏壇をきちんと拝んでいますか?お墓参りしていますか?お寺とのおつきあいをきちんとしていますか?
 そういうひとつひとつが、親孝行になるのです。


平成23年9月の門前掲示

外見は 中身の 一番外側

 もちろん、外見だけで人を判断するのは良くないことです。

 一方で、外見が、その人の性格を醸し出ているという事もありますよね。
 「ボロを着てても心の錦」なんて歌がありましたが、もし、「心が錦」であれば、ボロを着ていても、全体が輝いて見えるはずです。また、着ているボロも、きれいに洗濯され、きちんと畳まれた跡があることでしょう。
 ジャーナリスト・作家である、故大宅壮一氏も、「男の顔は履歴書である」と言っています。
 また、お釈迦さまの言葉にも、「妬み深く、けちで、うそをつく人は、ただ口先だけでも、美しい容貌によっても、端正な人とはならない。」とあります。

 年を取るにつれ、性格が顔に表れてくるものです。
 鏡を見て下さい。あなたはどんな顔をしていますか?



平成23年8月の門前掲示

怒るは無知 泣くのは修行 笑うは悟り

 怒ることは無知。もっとも愚かな事です。
 苦労して泣いて、いつも笑っていられる人間でいたいものです。



平成23年7月の門前掲示

見えないところで、友人のことをよく言っている人こそ、信頼できる。

 イギリスの神学者、トーマス・フラーの言葉です。

 人の悪口ばかり言っているような人は信頼できないですよね。
 中には、「悪を暴く」とか「膿を出す」などと言いながら、正義の顔をして人の悪口を言う人がいますが、愚の骨頂。他人から信頼を失うだけです。

 曹洞宗の教典「修証義」の中に「面ひて(むかいて)愛語を聞くは 面(おもて)を喜ばしめ 心を楽しくす 面はずして(むかわずして)愛語を聞くは 肝に銘じ 魂に銘ず」(直接愛語(あいご=おもいやりのことば)を聞けば、顔は喜びにほころび心は歓喜に満ちる。人づてに愛語を聞けば、その慈愛の念を心に刻み込むものである)とあります。

 他人の悪口を言わず、良いことを言う。とても大切な事です。



平成23年6月の門前掲示

どうして君は 他人の報告を信じるばかりで 自分の眼で 観察したり 見たりしなかったのですか

 物理学者、天文学者、哲学者であるガリレオ・ガリレイの言葉です。

 今回の地震地震に伴う原子力発電所の事故について、相変わらず、出所のはっきりしないおかしな情報が流され、きちんと確認もせずに、それを鵜呑みにし、混乱を招く、という事が続いています。

 発電所の問題ばかりではありません。誰かが思いつきや思いこみで口にしたことを、確認もせず信用し、結果として他人を傷つけてはいないでしょうか?
 確認すればすぐわかることなのです。きちんと確認し、むやみに他人を傷つけるようなことはやめましょう。


平成23年5月の門前掲示

七度尋ねて 人を疑え(ななたびたずねて ひとをうたがえ

 七度尋ねて人を疑えというのは、日本のことわざで、物が見当たらないときなどは、何度もよく探したうえで人を疑いなさい。むやみに人を疑ってはいけないということです。

 あなた自身はどうでしょう?おかしな情報に惑わされてはいませんか?
 「みんなやってる」「大勢の人がそうしている」などという言葉にだまされていませんか?

 日本政府や東京電力に対し、無根拠に「政府・東電は隠蔽ばかりだ」「本当のことを話せ」などと考えてはいませんか?そのような無責任な邪推こそが誤解、デマ、風評を生み出しているのです。

 人を疑うのは、きちんと確認してから。根拠のないデータ、出処のわからない情報に気をつけましょう。



平成23年4月の門前掲示

踏まれた花よ、立ち上がれ 倒れた草よ、花ひらけ

  平成23年3月11日に発生した三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。

 東北地方は、この地震により、壊滅的打撃をうけましたが、テレビなど見ていますと、みなさん、あきらめずに黙々と復興作業をしている様子に頭が下がります。
 踏まれた花が立ち上がり、倒れた草が花ひらく日が必ず来ます。
 私たちも、節電や募金をすることはもちろん、風評に惑わされず、日本の経済のために、大いに消費をするなど、足もとにある自分のできることをしていきましょう。



平成23年3月の門前掲示

今生(こんじょう)の我が身 二つ無し 三つ無し   −修証義

 テレビゲームだと、「命」が最初から3つくらいあって、1ゲーム中、失敗しても3回は最初からやりなおしができます。またゲーム中のポイントで「命」を増やすこともできます。
 しかし、人間の命は、ひとりにつき、たった1つずつ。やりなおしはききません。

 修証義では、このあと、不合理な自分勝手な考え方で、悪い行いをして、その結果がでてから後悔することのないように、と戒めています。

※この言葉を掲示中の平成23年3月11日、東北地方で大きな地震とそれに伴う大きな津波が発生し、たくさんの命が失われました。私たちは、今一度、この言葉を思い起こして、命の大切さを知るべきだと思います。



平成23年2月の門前掲示

歳月人を待たず

 平成23年の1月がもう終わってしまい、2月になってしまいました。今年も12分の1が過ぎたことになります。
 「2月は逃げる、3月は去る」という言葉があるように、この2ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。

 今月の「歳月人を待たず」という句は、陶淵明の漢詩からの引用ですが、諺としても使われている名句ですね。
 実は、原本を読んでみると、「時間は待ってくれない。若い時間は短い。しっかり遊べ」という内容なんですよね。

 人に与えられた時間には限りがあり、貯めておくことができません。只今の一瞬一瞬を大切にしていこうではありませんか。



平成23年1月の門前掲示

梅は 寒苦を経て 清香を発す

 今年も鳳林寺の庭には、蝋梅(ろうばい)の花が咲き始めました。
 すがすがしい良い香りがします。

 梅園で有名な静岡市葵区羽鳥にある曹洞宗洞慶院さんの本堂には、「梅 経寒苦 発清香」と書かれた額があります。額の脇に「(うめかんくをへてせいこうをはっす)梅は、春の先駆けとして、控えめながらも気品ある花を咲かせ、ほのかで清らかな香りを漂わせます。その凛とした姿は、厳しい寒さを経ているからこそ、醸し出されるのでしょう」との解説が書かれています。

 人間も同じですね。人生、楽と成功ばかりでは、他人の苦労がわからない、つまらない人間になってしまいます。苦しいところを耐え忍んでこそ、人間としての豊かさ、温かさが出てくるというものです。
 今、人生の寒くて苦しいところを歩んでいる人もいることでしょう。でも、それを乗り越えれば、きっとあなたも、清々しい香りを発することのできる人間になれるはずです。





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