平成14年の門前掲示



平成14年12月の門前掲示

「急ぐな 休むな 夢を追え」

 半年ほど前、東京工業大学助教授、文化人類学者の上田紀行氏の講演を聞きに行きました。
 上田氏は「癒し」という言葉を使い始めた人だそうです。
 講演の中で、「みなさん活き活きしてますか」という話がありました。
 人は活き活きすることが大切なのだそうです。  そのためには「夢を持つ」ことが必要なのだそうです。
 夢というのは子供だけのものではなく、大人でも、老人でも、持てるというのです。
 ここで、氏はいろいろな例を挙げて、誰でも夢を持つことができるということを熱く語ってくれました。
 誰でも夢中になれるものが一つはあると思う。そういうことを一生懸命やっていけばいい、といった事を話して下さったと記憶しています。
 私も「夢」などという言葉はすっかり忘れていましたが、なんだか私にも夢が持てるような気がしてきた講演でした。
 さて、今月の「急ぐな 休むな 夢を追え」というのは、前総持寺貫首板橋興宗禅師の言葉です。
 夢を追うには急いでもだめ、休んでもだめ、少しずつ、着実に進むのが良い、ということでしょう。
 何でもいいから夢を持って下さい。そして急がず休まず夢に向かって進んで下さい。

平成14年11月の門前掲示

「ものを言おうとするとき、3度考えてから後、言うのがよい」

  ものを言おうとするとき、3度考えて、自分のためにも他人のためにも利益のあることならば言うのがよい。利益がなさそうなときは言うのをやめるべきである。(正法眼蔵随聞記巻1)
 3度考えて・・・と言っても、日常の会話の中で、いちいち3度も反復して、自分のためにも相手のためにもなることかどうかを考えてしゃべることは実際なかなかできることではない。しかし、ほんの一瞬でもいい、一瞬思いを巡らすことによって日常生活における失言は確実に少なくなる。不用意に他人を傷つける言動もなくなるだろう。

平成14年10月の門前掲示

「何度同じことを聞かれても、お年寄りにはていねいに答えなくてはいけない」

以下は酒井大岳著「金子みすゞの詩を生きる」(JULA出版)からの抜粋です。

 ある日、母方の祖母がお客に来ました。
 おばあちゃんは裁縫をしていました。わたしはその隣で習字をしていました。
 しばらくすると「てつお!(大岳氏の本名)」とおばあちゃんがわたしを呼びます。
 おばあちゃんはガラス越しに遠くの方を見て、
 「さっきから、不思議に思うんだが、向こうの山にピカッと光るものがあるが、あれはなんだ」 といいます。
 見ると、東の山すそに、ピカッと光るものがあります。
 「最近あの山の中腹に新しい中学校の校舎が建ってねぇ、午後になると太陽の光を反射して光るんだよ」
 おばあちゃんは、
  「ふうん、むかしの校舎は光らなかったが、今の校舎は光るのかい。文化もすすんだもんだなぁ」
 おばあちゃん、齢をとったなぁ、と正直わたしは思いました。
 少ししたら、また「てつお!」ときました。何かと聞いたら、また同じことを言うのです。「向こうの山に・・・」
 わたしは、またまた同じように答えました。
 なんと、おばあちゃんは四度も聞いてきたのです。わたしは四度目も初めてのように丁寧に答えました。
 すると、おばあちゃんはこういうのです「てつお!おめえは、さっきも同じことを言った」。
 これには大笑いです。「なにがおかしい」というから、おばあちゃんこそ同じことを四度も聞いてきたじゃないか というと、こんどはおばあちゃんがくすくす笑い出して、
 「もうろくしたもんだなぁ。四度も聞いたかやぁ。」
 と自分から言いました。
  「もうろくした」という言葉を自分から言うのと、他人から言われるのとは雲泥の差です。
 これも何度でも丁寧に答えた結果なのです。

 このおばあちゃんは、病気で危篤状態になったとき、大岳氏の手をにぎり、「おまえは、なんど、おなじ、 ことを、聞いても、やさしく、ていねいに、おしえてくれたね。ありがとう。わすれないよ。」といって、 亡くなったそうです。

平成14年9月の門前掲示

「いつも誰かに お世話になっている
 いつも誰かに 迷惑をかけている」


 人は自分一人だけの力では生きていくことはできません。誰かのお世話になりながら、また誰かに迷惑をかけながら生きているのです。

平成14年7月の門前掲示

「明日があると思う心には 全生命の燃焼がない」

  「今日できなくても明日やればいい」などと思っていると、伸ばし伸ばしになってしまい、最後にあわてるか、または結局やらずに終わってしまうことが多いです。

 私は眼の病気で、小さいときに、「小学生に上がる頃には失明しているでしょう」と宣告されました。宣告されておよそ30年、運良く今のところ眼は見えています。でもいつ見えなくなるかわかりません。だから私は目で見るものには一生懸命です。いつ見えなくなっても後悔のないようにがんばっています。
 本当は見るものばかりでなく、どんなことでも、できるうちにしておくことが大切だと思うのです。全生命を燃焼させて生きていくってちょっとカッコいいですよね。

平成14年6月の門前掲示

「自分の番 いのちのバトン

 父と母で二人
 父と母の両親で四人
 そのまた両親で八人
 こうしてかぞえてゆくと
 十代前で千二十四人
 二十代前では−−−?
 なんと百万人を越すんです

 過去無量の
 いのちのバトンを受けついで
 いまここに
 自分の番を生きている
 それが
 あなたのいのちです
 それがわたしの
 いのちです」


 相田みつを氏の詩です。  あまり知られていないことですが、相田みつを氏は、曹洞宗の開祖道元の著書「正法眼蔵」を愛読しており、その詩の多くは「正法眼蔵」を彼なりに消化し、書かれたものと言われています。
 彼の詩が心を打つのはその中に宗教があるからだと思います。  今回は私の下手な解説は必要ないでしょう。

平成14年5月の門前掲示

「好球は必ず来る その時のために素振りをしておく」

 先日、テレビを見ていて、「これはいいことを言ったな」と思い、急いでメモを取りました。
 新入社員のみなさんに送るメッセージとして、言った言葉です。今は希望の仕事をさせてもらっていなくても、好機は必ず来ます。希望の仕事でなかったからと、くさらず、チャンスが来たときのために素養を身につけておきましょう。素振りをしておかないと、せっかくの好球を打ち逃すかもしれません。さあ5月病に負けず、素振り素振り!!

平成14年4月の門前掲示

「その時の出逢いが、人生を根底から変えることがある。よき出逢いを」

 相田みつをの言葉です。
 4月は進学・進級・就職・転勤などで、新しい出逢いに満ちあふれています。みなさんにもよい出逢いがあるといいですね!
 また、この時期、親しい友人と離ればなれになってしまう人もいるでしょう。近くにいるときは親しくしていても、離れてしまうとだんだん気持ちも離れていってしまうものです。 年賀状でも、メールでもいいです。つながりは保っておきましょう。  きっと、将来、その友人の役にたつことができたり、また自分にも有益なことが必ず出てきます。

平成14年3月の門前掲示

「道を求める心を起こそう」

 3月は年度変わりの月です。ものごとを新たに始めるには良い機会です。
 どんなことでも良いのです。(悪の道を求めてはだめですよ)なにか ひとつのことに打ち込んでみたらいかがでしょうか?

平成14年2月の門前掲示

「心に悪いと思うことはやめよう 必ず結果がよくない」

 「法律で罰せられなければよい」とか、「20才までは顔も名前も出ないからよい」とか 、「ばれなければよい」とか、そういう問題ではない。
 自分の心と相談して「これはいけない事だ」と思ったら、 それは行うべきでない。
 必ずいい結果は得られない。自分の心も痛む。

平成14年1月の門前掲示

「1日生きることが 1日進むことであれ」

 湯川秀樹の言葉です。 毎日をただなんとなく過ごしていませんか?
 無駄にテレビを見たりテレビゲームをしたり。
 「今日はこんな事を学んだ」「今日はこんな事ができるようになった」
 毎日そんな風に過ごして頂けたらと思います。

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