閻魔大王の眷属

ここでは閻魔大王と共に安置されている像について説明をします。

十王
 冥界にあって亡者の罪業を裁判する十人の王である。詳細はこちら

泰山府君(太山王)
 焔摩天の眷属の一つとして胎蔵界曼陀羅中に位置しており、中国において、名山泰山と結びつけられ神格化され、十王中に太山王として取り入れられた。十王のうちでは代表格として閻魔王に次いで多く造られている。
 尚、服装等は閻魔王に準ずるが、右手の持ち物人頭杖は曼陀羅中の図像を継承するものである。

司録・司命
 冥府を代表する役人。唐時代の役人の衣服(道服)をまとい、撲頭冠を被る。一般に、司録は筆と経巻を執り、司命は書巻をひもといて読む姿にあらわされる。
 十王と同様、忿怒の形相とする。

倶生神
 同名・同生と呼ぶ二神で、人の誕生時からその左右の肩にいて、その所業の善悪をすべて記録しているという。
 司録・司命像とほぼ同じ服装にあらわされるため、混同されることが多い。
  鎌倉 円応寺の倶生神

奪衣婆

 冥土の入口にあるという三途の川(葬頭河)の鬼婆で、樹下にいて亡者の衣服をはぎ取って、樹上の懸衣翁に渡し、翁はそれを枝に掛けて罪の軽重を量るという。
 懸衣翁の作例は少ない。
  静岡 寶珠院の奪衣婆

鬼卒

 亡者を十王の前に引き出したり、刑罰の執行を役割とする冥府の獄卒である。
 腰に獣皮または褌を締めるのみの裸身の鬼の姿とする。
 絵画では各王に必ず描かれているが、彫像の作例は少ない。
  鎌倉 円応寺の鬼卒

檀拏幢(だんだどう)・人頭杖(にんずじょう)
 閻魔王庁で亡者の裁判の際、罪業の軽重や善悪を勘検する役割を果たすもので、幢上に男女の首のみをのせる形とする。
 男の頭部は太山府君、女の頭部は暗闇天女である。
 また、赤い顔の方は、生前の悪行を見通し、白い顔の方は、善行を見通すとも言われる。(2003.07.01 追加)
 太山王や司録・司命の持物とすることもある。

罪状秤(ざいじょうばかり)
 秤の片方に、大きな岩が結ばれていて、罪の重い人がもう一方の皿に乗ると(鳳林寺のものは、人も縛りつけられている)、岩が持ち上がってしまう。

参考:「日本の美術 No.313 閻魔・十王像」
    かるかや山西光寺「十王巡り」パンフ

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