龍爪の三閻魔、あとの2体について

 残念ながら、文書による記録はない。
 口伝のみがたよりである。

説1:
 龍爪山のふもとにあるお寺の和尚さまに聞いたところ、1体は静岡市西島「光増寺」(安倍川下流)・もう一体は下田市「竜巣院」(伊豆)にあるとのこと。
 教えられた寺に電話で確認を取ったところ、両寺とも、「うちには閻魔像はない」との回答。(2000.9.1)

説2:
 鳳林寺に、「ここの閻魔さまについてよく知っている」という人が来た。
 その人によると、静岡市西平松(久能山東照宮やイチゴ狩りで有名なあたり)と静岡市鎌田(とろろ汁で有名な丸子宿のあたり)にあるとのこと。親切に地図まで示してくれた。
 実際、行ってみると、西平松には閻魔堂があり、閻魔像が安置されていた。大きさは鳳林寺より小さい。
 鎌田の方は、地図で示された場所に行くと、確かに御堂があった。しかし、中にはお地蔵さまが安置されていた。その上、その場所は、鎌田ではない。私は静岡市鎌田のあたりを調べてみることにした。
 すると、ある老人から、「鎌田の閻魔なら、あの寺だ。」と、お寺への行き方を教えてくれた。
 お寺に行ってみると、住職と思われる方が、庭を掃除していた。「すいません、閻魔さまを見せてください」と言ったところ、「閻魔はいない」とのこと。その和尚の態度はとても悪く、とても恐かった。もしかしたら、「鎌田の閻魔」とは、この恐い和尚のことなのか...。とにかく「鎌田の閻魔像」は見つからなかった。
(2000.11.15)

・「鎌田の閻魔」が安置されていた寺は、既に廃寺になっており、現在は丸子の歓昌院さんにおまつりされている閻魔像が、「鎌田の閻魔」だとの情報を得た。
 歓昌院さんに閻魔像があることは、確認できている。しかし、歓昌院さんには、閻魔像に関し、全く伝承が残っておらず、真偽は確かめようがない。
・西平松の閻魔堂の鍵を管理している方の話を聞くことができた。
 こちらも、全く伝承が残っておらず、真偽の確認はできなかった。
 伝承の確認はできなかったが、この「歓昌院の閻魔」と「西平松の閻魔」が、「龍爪の三閻魔」残りの2体だということで調査を終了することにした。(2004.10.15)